Mt.Tateshina
蓼科山 (諏訪富士)
霧→小雨
八ヶ岳連峰の最北端に位置する、標高2,531mを誇る火山「蓼科山」。円錐形で富士山のような形から、諏訪富士とも呼ばれている日本百名山の一座。
【7合目登山口までのアクセス】
・中央道諏訪IC-ビーナスライン-7合目登山口(諏訪ICから約1時間15分)
蓼科山
長野県と山梨県にまたがる山脈、八ヶ岳連峰。北と南では山容が異なり、様々な色を見せてくれます。「蓼科山」は北八ヶ岳最北端に位置し、このエリアは登山道も比較的歩き易く穏やかな森を歩けます。そんな北八ヶ岳の中で「蓼科山」は唯一の日本百名山に選ばれている山。登山道・山小屋も整備されており、日帰り登山が可能、初心者にもおすすめの山です。
登山までの道のり
登山に行ってはフィルムカメラを持って駆け回り、
思い出したかのように目的なくInstagramへポストする、
あまり意味の見いだせない行為を続けていたつもりだが、
中高と仲良く遊んでいた幼馴染み(以下、翔平)からの一件のコメント。
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「登山行きたい!」
これまでのポストが今回の登山に繋がったと考えると大変喜ばしい。
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この一言で僕の中の変なスイッチが入った。
ずっと大好きな友人が登山に興味を持った。
盛大にプロデュースして、趣味含めた心の友ってやつに仕立てあげたい。
そんな想いが爆発し、早々に会う約束をした。
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最低限の装備を集めに駆け足でお店を回った。
ザック、靴、ウェア、インナー、その他細々
こういった道具を揃えるだけでも軽く10万弱かかる。
装備がないと行えない登山という行為に対して
初期投資が少々重く感じる。
入り口が遠いのだ。
生半可な覚悟で踏み入れちゃいけない、
行ってみて面白くなかったら損、
付き纏うマイナス面、
そういった観点で小さな覚悟が必要だと僕は思う。
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でも翔平はそんな小さな野郎ではなかった。
予め予算を問い、笑顔で購入へ進んだ。
長年付き合っているのに、僕は何に不安がっていたのか。
シメシメ、これでもう戻れないぞ
(そんなことは思っていない)
これで翔平と楽しい登山ができる!!!
嬉しい思いでいっぱいの梅雨。
早速登山の予定を立てるが、梅雨。
デビュー戦はどうか晴れてほしい。
そう祈るばかりだった。
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しかしそんな都合の良い梅雨はない。
例年通り、どこに行こうと雨予報は変わらない。
梅雨入りしても休まず登山を続けてきた
私の経験値は上々、
雷雨の恐れがないのを確認し、強行した。
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登山スタート
夜中に千葉県出発、3~4時間の道のりを経て蓼科山7合目登山口に到着。
車内で仮眠を取り、朝を迎えたら登山スタート。
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歩き出しはなだらかな道が続く。
早速新調した道具を身に纏い、ウキウキ
に見える、実際そうだ。嬉しい。
森が深い。
少し霧掛かり、
草木の匂いと雨の匂いが混じり合う。
低山とは違った匂いがする。
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遥か先まで一瞬で進んでしまいそうな
そんな幻想感。
しっかし登れど登れど霧が濃い。
それでも登山客はたくさん、賑わっていた。
みんな同じ気持ちなんだ。
中学のときから野球を嗜み、仕事でも体を動かし、
今でも毎週草野球をしている
登山の申し子かのような翔平は、
僕を置いてグングン登っていく。
何度「待って〜〜」と言ったことか。
おかげでたくさん写真撮れたんだけどね。
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梅雨時期特有の蒸れがすごい。
脱ぎ着を繰り返しながら山を進む。
如何にレイヤリングが大切か、改めて思い知った。
めんどくさがり屋な人ほどレイヤリングをしっかりしたほうがいい。
深い森を着々と登り進めると、チェックポイントの将軍平に到着。
ここの「蓼科荘」で一息休憩を取ろう。
Tシャツ、コレクションバッチ、食糧、水分、
山荘の売店でいろいろ売っている。
忘れてしまったもの、急な天候不良、山でのアクシデントは
ここで解決できそう。
やはり山荘があるとホッとするね。
さて、少し長めに休憩をし、再出発。あと少しだ。
蓼科荘を後にし、進むとゴロゴロと大きな岩が増えた。
と同時にこれまで以上に傾斜の高い登りが待っていた。
周りの草木の様子が変わってくる。
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「森林限界が近い」
遂に背丈は僕らのほうが上になる。
途中で落とし物を拾い(カメラ本体とレンズ)
↑これは山頂ヒュッテに届けました。
山頂が近い。
開けた岩場を登り進めると、突然建物と標識が現れた。
蓼科山頂ヒュッテだ。
表では元気なお姉さんが焼き鳥を焼いている。
食べたそうに眺める翔平と、先客の方々。
山頂付近で焼き鳥が売ってるとは思っていなかった。
迷う。
まだ山頂へ辿り着いていないのに、
テラス席で焼き鳥が食べたくなってしまった。
一旦山頂標識見てから戻ってこよう。
そうすることにした。
(結局あとで食べた、コーヒーも飲んだ)
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さて、そこからすぐに山頂。
山頂は岩だらけだった。
たどり着いた。北八ヶ岳最北端・日本百名山「蓼科山」
別名:諏訪富士。
相変わらずガスがかっているが、平な岩の広場が続いている。
僕が「ここは山頂だ!」と言わなかったら
誰も山頂だとは思わないくらいに。
これまで登ってきた山とは全く違う山頂の景色だった。
これ、きっと晴れていたら空の青と山の地との境界線があって
不思議な景色なんだろうなぁ、と思った。
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標識を見て安堵の荷降ろし、一息ついた頃
翔平に、一件の電話がかかってきていた。
「もしもし。今、山頂にいます。」
仕事の電話だ。
最近の山頂は電波も届く。
山頂で仕事の電話をする人なんて
そうそういないのではないか。
電話をかけた相手から、「今山頂にいます。」なんて返答がきたら
どんな反応をすれば良いのか困っちゃうな。きっと。
僕は耳を澄ませて待った。
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長いこと過ごしていた。
山頂周りをグルーっと周り、食事の時間。
山頂で食事を終え、一息つく。
登りでの思い出を一頻り話し終えたあと、
足早と頭上を通り過ぎていく雲を見てた。
ひたすら見てた。
その間、度々ガスが晴れる時があった。
が、空は依然真っ白のまま。
「このまま全て雲が過ぎ去り、晴れ間を。」
そんなことを口にしていた。
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次第に口数が減っていく。
交わさずともお互い同調していた。
「このままずっとこの場に居たい」
始まったばかりの恋のような気持ち、
そんな気持ちを抱えて、雲を見ていた。
二人とも腰を上げようとしない。
そんな想いなんぞ無視され
時間は限界を寄越してきた。
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帰らねば。
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トボトボと重い足取りで、何度も後ろを振り返りながら。
まだ晴れるんじゃないかと期待をしながら。
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山頂標識に戻った直後、少しだけ晴れた。
左手に少しだけ青空が。
それだけでも嬉しかった。
下山路は来た道をピストンで戻る。
グングンと下山路を進むと同時にまた霧に戻る。
あれ?また雨が降ってきた?
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僕らは雨雲の上にいたのだ。
雨雲を越えた先の世界。そう思うと
とてつもない浮遊感に包まれる。
地に足をつけながら、浮遊する。
そんな山だった。
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fin.
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終わりに
蓼科山
2500mオーバーの山ながら
危険箇所もほとんどなく、終始楽しく登れる山。
日帰りで森林限界を望むにはちょうどよい。
雪山も初心者向けとよく聞く。
晴天を狙って再訪する。